アメリカの大学で奮闘中

アメリカの大学でプログラミングを学ぶべくコンピューターサイエンス学部に留学したものの挫折し数学科に転部した著者が、自分の挫折ポイントを踏まえて数学、プログラミング、アルゴリズムついてできる限り分かりやすく解説してみるブログ。*できる限り記事の内容は技術的な間違いをしないように気をつけていますが、もし間違いがあれば教えていただけると助かります。

一年生植物の発芽による数理モデル

 

*数Bの漸化式を知っている人向けですが、理解するのにそこまで数学の知識はいりません。ただし数学的な考え方は必要。

 

今回はプログラミングではなく、数学関連で数理モデルのことを書きたいなと思います。

 

大学の授業で数学に関するトピックについて調べてプレゼンテーションをしないといけなくて、そこで自分の選んだトピックが「一年生植物の数理モデル」です。

 

この記事ではそのためのアウトプットを兼ねて、数理モデルって面白そうだけど具体的にどんなものなのかを知りたいという方や、生物の好きな人で、数理モデルがどのように生物学に使えるかを知りたいという方向けに書いています。

 

これから自分が紹介する数理モデル(式なんですけどね)の目的は一年生植物のn世代の植物の数p(n+1)を漸化式で表すことです。

 

この記事は  Edelstein-Keshet, L. (1988). Mathematical models in biology. New York: Random House.の page 8 ~ 11  を参照しています。

もしもっと深く勉強してみたいという方はぜひ参考にしてください。

 

できるだけ簡単にわかりやすく簡潔に書くことを心がけてはいますが、自分のスキルがまだまだなことと、たくさんの文字が出てくることとをお許しください

 

状況整理 + 変数、パラメーターの紹介

そもそも一年生植物とは、種子から発芽して一年以内に開花し種子を残したあと枯れる植物のことを指します。

そして種子は1年で開花するものと、2年で開花するものの二つがあります。イメージとしてはパラメーターがたくさん加わったフィボナッチ数列です。

 

正確には全部の種子は1年で開花することを想定しているけど、もし発芽できなかった場合2年目発芽する種子の候補になります。2年で発芽しなかったものはもう二度と発芽しないものとします。

 

 

今回のゴール

p(n) : n世代の植物の数

 

パラミーター

γ : 一つの植物が作る種子の数

α: 2年でが発芽する種子がちゃんと発芽する確率

β: 1年でが発芽する種子がちゃんと発芽する確率

∂: 無事越冬できる確率

 

ゴールはp(n), p(n-1)とパラミーターで表されるべきです。

 

図解するとこんな感じです。

 

   n-1 世代          n世代            n+1世代

f:id:Astrostory:20200224041224p:plain

一年生植物の発芽サイクル

 

実際に数理モデルを作っていこう

 

最終のゴールを考える

最後に欲しい式はp(n+1)を先ほどあげた文字を使って表すことです。

 

状況整理のところであげた趣旨の情報より、n世代のその植物の数は1年で開花した種子の数+2年で開花した植物の数の和で表せることが分かります。

 

S1n : n世代の1年で発芽する可能性のある種子の数

S2n : n世代の2年で発芽する可能性のある種子の数

このように定義します。

 

ちなみに...

実際に発芽する芽の数は1年目、2年目に発芽する確率であるα、βをそれぞれかけて

α S1n、β S2nという風に表されます。

 

 

これら種子の数に実際に発芽する確率 α,βをかけることで、

p(n)はこのように表せます。

p(n+1) = α S1n+1  +  β S2n+1 ...(*)

 

S1nとS2nは自分が用意した文字なので、それを消去して行きましょう.

 

とは言ってもすぐにもとまるものではないので、分かるところから順番に求めていきましょう。

 

 

まず新しくn世代の生産された種子の総数をS0nと定義すると、翌年(n+1)に一年で発芽する種子の総数S1n+1 は

S1n+1 = ∂S0n ...(1)

と表されます。

 

 

まず、n世代の植物がうむ種子の総数ですが、n世代にp(n)個その植物が生きていることと、一個のその植物がγ個の種子を生産することを考えると、新しくn世代の生産された種子の総数S0n(今定義した)は

S0n = γ p(n) ...(2)

と表されます。

 

(1),(2)より、

S1n+1 = ∂ γ p(n) ...(#)

を得ることができる。

これにより、(*)式のS1n+1がすでに求まったことになります。

 

ではここからは S2n+1を求めて行きましょう。

 

まず2年目で発芽する種子になり得るものは1年目で発芽しなかった種子です。

ではS1nを使って2年目に発芽しなかった種子の数を求めましょう。

発芽する確率がαだったので、発芽しない確率は 1-αとなります。それと2年目ということはもう一度冬を越さないといけないといけないということなので、無事冬を越せる確率である∂をかけて

S2n+1 = ∂ (1 - α) S1n ...(3)

と表されます。

 

(1)よりS1n+1 = ∂ γ p(n)、すなわち S1n = ∂ γ p(n-1) ...(4)

 

(3),(4)より、

S2n+1 = ∂ (1 - α) ∂ γ p(n-1)

➡︎ S2n+1 = ∂^2 γ (1 - α) p(n-1) ...(%)

 

%#*より、

P(n+1) = α ∂ γ p(n) + β  ∂^2 γ (1 - α) p(n-1) 

が求まります。

 

 

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